債務調査とは?
債務調査とは、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産など)を進めるにあたり、正確な借入金額や取引履歴を調べる工程を指します。弁護士または司法書士が債権者に対して「取引履歴の開示請求」を行い、それに基づいて利息制限法に則った引き直し計算を行います。
この調査結果により、本来の債務額が確定し、過払い金の有無も判明します。借金問題を法的に処理するための基礎資料となる非常に重要なプロセスです。
債務調査の流れ
- ① 受任通知の送付:弁護士が債権者に受任通知を送ると、督促が一時停止されます。
- ② 取引履歴の開示請求:債権者に対して、これまでの取引履歴を開示するよう求めます。
- ③ 債権者からの回答:数週間~1ヶ月ほどで履歴が届きます(対応速度は業者により異なります。3ヶ月以上かかる業者もあります)。
- ④ 引き直し計算の実施:利息制限法に基づき、適法な金利で再計算を行います。
- ⑤ 調査報告書の作成:債務者(依頼者)に報告書を送付し、状況を共有します。
- ⑥ 今後の方針決定:調査結果に基づいて、任意整理・個人再生・自己破産のいずれかへ進みます。
債務調査の結果から分かれるケース別対応
【ケース①】過払い金が発生している
- 弁護士の対応:過払い請求を行い、業者に返還を求めます(任意交渉 or 訴訟)。
- 債権者の対応:過払い金の存在を認め、任意返還または争うケースも。
- 結果:借金完済扱いになる可能性あり。返還金が手元に残る場合も。
【ケース②】債務が減額される(引き直し後も借金残)
- 弁護士の対応:利息カット・分割返済の条件で任意整理の和解交渉を開始。
- 債権者の対応:返済能力を見て和解に応じる傾向あり。分割回数などは業者ごとに異なる。
- 結果:毎月の返済額が軽減され、3年〜5年で完済を目指す形に。
【ケース③】債務が大きすぎて返済不能と判断
- 弁護士の対応:個人再生または自己破産の手続きへ方針転換。
- 債権者の対応:再生計画案または破産手続きの通知を受け、裁判所の決定を待つ。
- 結果:個人再生では最大5分の1程度に圧縮。自己破産では免責により支払い義務が消滅。
債務調査の注意点
- 取引履歴が長期間ない場合、書類が破棄されていることも(要確認)10年間は保管義務
- 複数社から借り入れがある場合、調査完了までに時間がかかる
- 正確な借入先情報(カード名義、利用開始年など)を弁護士に伝えることが重要
- 過払い金について同じ業者で完済後、再度借入の場合は間の期間により一連の取引とみなされない場合があります。(完済から10年が時効)
債務調査は「借金問題の全容を把握するための出発点」です。今後どのような債務整理手続きへ進むかは、この調査結果によって大きく左右されます。
不安な場合は、無料相談を受けられる法律事務所で一度プロに状況を診てもらうことをおすすめします。