【債務整理】裁判所が再生計画を強制認可できる「ハードシップ免責」とは?仕組みと注意点を徹底解説
個人再生は、債務(借金)を大幅に減額し、原則3年間の分割返済を行うことで、残りの借金が免除される法的整理手続きです。
しかし、返済期間中に事故や病気、失業などにより返済ができなくなるケースも少なくありません。そんなときに利用できる制度が、「ハードシップ免責」です。
ハードシップ免責とは?
ハードシップ免責とは、やむを得ない事情で再生計画どおりの返済が困難になった場合、一定の条件を満たせば裁判所が再生計画の残りを免除してくれる制度です。
民事再生法第229条に基づく制度で、再生計画の「強制終了的な免責」といえます。
ハードシップ免責の主な要件
- やむを得ない事情がある
たとえば、病気・失業・家族の介護など、本人の責任とは言えない事態で返済継続が困難になった場合が対象です。 - 再生計画に基づく返済の一部を履行している
つまり、計画が全く実行されていない場合は対象外です。ある程度返済していることが条件です。 - 清算価値保障原則に反しない
もし自己破産していた場合に債権者が受け取れる額以上を、すでに返済している必要があります。 - 再生手続が終了している
ハードシップ免責は、あくまで再生計画の変更ができない状態で使える救済手段です。
再生計画変更との違い
支払いが厳しくなった場合、まず検討されるのが「再生計画の変更」です。返済期間の延長(最長5年まで)や支払猶予などが認められる可能性があります。
ただし、変更手続きができるのは再生手続きが完了するまでであり、それを過ぎてからは変更できません。そのため、再生計画完了後に問題が生じた場合はハードシップ免責の出番になります。
申立ての方法と注意点
ハードシップ免責を受けるには、本人または代理人(弁護士)が家庭裁判所に申立てを行う必要があります。
申立てに必要な書類の例:
- ハードシップ免責申立書
- やむを得ない事情を証明する書類(診断書、解雇通知など)
- 再生計画履行状況の報告書
注意すべきは、債権者の意見も裁判所が聴取するという点です。異議が出れば認められない可能性もあるため、申立て内容の正当性・証拠の明確さが非常に重要です。
こんな人におすすめ
- 再生計画に真面目に取り組んでいたが、やむを得ず返済できなくなった人
- 返済の一部は完了している人
- 再生手続が終了しており、再計画の変更ができない人
逆に、最初から返済をしていない人や、浪費・ギャンブルなど本人に過失がある場合は認められにくい傾向があります。
まとめ|個人再生にも「救済の救済」がある
ハードシップ免責は、個人再生という法的整理の「救済手段」のさらに奥にある、最後のセーフティネットです。
再生計画の途中でどうしても返済が難しくなった場合、諦めずに制度の活用を検討しましょう。
一度専門家に相談することで、現実的な選択肢が見えてくるかもしれません。
債務整理に強い法律事務所に無料相談する