個人再生や自己破産などの「法的整理」は、裁判所が関与するため、債権者もそれに従う──そんなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
実際には、債権者にも「意見を述べる場」や、手続きに「反対する機会」があります。
では、最終的に裁判所の決定に債権者は必ず従うのか?
本記事では、債務整理における法的手続きと債権者の関係を、わかりやすく解説します。
そもそも法的整理とは?
法的整理とは、裁判所を通じて債務を減額または免除してもらう正式な手続きです。代表的なものには以下の2つがあります。
- 個人再生:借金を大幅に減額し、原則3年で分割返済する
- 自己破産:借金の返済義務そのものを免除してもらう
これらは国の制度であり、申立てから認可までの流れが法律で定められた手続きです。
債権者は裁判所の判断に従うのか?
原則として、裁判所が認可した再生計画や免責決定には、債権者も従う義務があります。
ただし、すべてが「一方的に決まる」わけではありません。
債権者には以下のような意見表明の機会が用意されています。
●個人再生の場合:債権者の反対もあり得る
個人再生では「再生計画案」に対して、債権者が反対票を投じることができます。
このとき、以下の条件を満たすと再生計画が不認可になる可能性があります。
- 反対した債権者が「総債権額の過半数以上」を持っている
- 過半数の債権者が「人数としても半数以上」である
つまり、債権者多数の反対があれば再生手続きは進みません。
ただし、住宅ローン特則付きの再生(小規模個人再生)では、反対があっても裁判所の裁量で認可される「ハードシップ免責」などの例外も存在します。
●自己破産の場合:免責に異議を唱えられる
自己破産では、債権者が「免責反対の意見」を出すことができます。
たとえば以下のような場合は、裁判所が免責を却下する可能性があります。
- 浪費やギャンブルが借金の原因である
- 財産を隠したり虚偽申告をした
- 反復的に自己破産を繰り返している
とはいえ、実際には免責が認められるケースの方が圧倒的に多いのが実情です。
債権者が異議を唱えたとしても、それだけで免責不許可になるとは限りません。
債権者の反対があると整理は無理なのか?
必ずしもそうではありません。
個人再生では「給与所得者再生」という手続きを選べば、債権者の同意なしに再生計画が認可される可能性があります。
また、自己破産の場合は裁判所の判断が最終決定権を持っており、債権者の反対は「参考意見」に過ぎません。
まとめ|法的整理は裁判所主導、でも債権者も無視できない
- 個人再生は債権者の反対で不認可になる場合もある
- 自己破産では債権者の異議申し立ても可能だが、裁判所が最終判断する
- 裁判所が認可した内容には債権者も原則従う
法的整理は「一方的にすべてが決まる制度」ではありませんが、債務者にとって強力な救済手段であることは確かです。
債権者の反応が気になる場合でも、弁護士に相談しながら進めることで回避できるリスクも多くあります。まずは自分の状況に合った手続きを検討してみましょう。
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