【脳科学で解明】なぜギャンブルはやめられない?
負けた未来より「勝つ未来」を優先する脳の正体
「これで取り戻せる気がする」「次は勝てる」――
ギャンブル依存の人がよく口にするこの言葉には、実は脳科学的な根拠があります。
本記事では、脳が「勝つ未来」をなぜ優先してしまうのか、そのメカニズムと、実際の研究事例を交えて解説します。
人間の脳は「快の未来」を信じたがる
私たちの脳には、快楽をもたらす行動に対してドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。
ドーパミンは本来、「食欲」「性欲」「達成感」など生存に必要な行動に関与しますが、ギャンブルやアルコール、買い物などの快感刺激でも大量に分泌されてしまうため、依存を引き起こします。
問題なのは、「勝ったとき」の記憶が脳内で非常に強く保存され、負けの記憶は薄れてしまうこと。
これにより、過去の大勝ちの記憶ばかりを思い出し、現実的には負け続きでも、「次は勝てる」と脳が信じ込んでしまうのです。
脳は未来を“楽観的”に予測する
脳は未来を予測する際、負ける可能性を無視しがちです。これをポジティブ錯誤(positive illusion)と呼びます。
脳の前頭前皮質は本来、合理的な判断を担いますが、快楽を司る報酬系(側坐核や腹側被蓋野)が過活動状態になると、理性的な判断を上書きしてしまうのです。
負けが続いても「次こそ勝てる」と思うのは、脳が『快の記憶』を優先してしまう設計だから。
【実験紹介】ギャンブル状況下での脳活動スキャン
ロンドン大学の神経科学者Ray Dolan教授らの研究では、被験者にギャンブルタスクを与え、fMRIで脳の活動を計測しました。
- 勝ちが近い(ジャックポット直前)と認識した瞬間、側坐核が異常に活性化
- 実際には確率が変わらないにも関わらず、「もうすぐ勝てる」と脳が錯覚
- 結果、損失回避よりも快楽追求が優先される判断傾向が出現
この実験は、ギャンブル依存者の「もう少しで当たる」という感覚が脳の錯覚であることを示しています。
「負け続けてもやめられない」は脳の仕組み
あなたが意思が弱いのではありません。脳の報酬回路が「快楽の予測」にハマってしまっているだけなのです。
負けたときの後悔は一時的。でも、勝った記憶はドーパミンと結びついて深く刻まれる。
その結果、脳は現実ではなく、「かつて快感を得た未来」を信じてしまうのです。
回復への第一歩は「脳を知ること」
依存行動から抜け出すには、「意志の力」だけでは難しい場合もあります。
- 行動療法(CBT)や認知療法
- アンカリングや視覚化(ビジュアライゼーション)
- 環境要因(誘惑を遠ざける)
こうした脳科学・心理学の知見を使って、脳のクセを修正していくことが大切です。
\ ギャンブル依存と借金問題の無料相談 /
依存が借金に発展してしまった方には、専門家による債務整理の無料相談も可能です。
債務整理に特化したお薦め法律事務所事務所・無料相談はこちら